創立20周年のご挨拶

有限会社クオリティ
創立20周年のご挨拶

 令和6年弊社は20週年を迎えました。次々に変遷する時代に揉まれながらも、多くの素晴らしいお客様にお⽀えいただきました賜物と⼼得ます。また業種や⽴場を超えて交流してきた仲間たちや、共に汗を流してきたスタッフと挑んだ様々なチャレンジは多くの可能性を実現化してきました。決して順⾵満帆に20年の歳⽉を経てきたわけでありません。むしろ失うものの⽅が遥かに多く、⼈⼀倍遠回りをしてきたのも事実です。しかし、現在100種類を超える製品群を⾒つめながら20年を回顧するとき、それは決して無駄にはならなかったと確信を与えてくれます。ぎっしりと詰まった年⽉の重みに万感の想いが込み上げます。

 

これまでの全ての出会いに⼼から感謝を申し上げます。

 

とりわけ今⽇までの私を⽀えた家族の忍耐と励ましは、この上ない確かな私の誇りです。その⾜取りは新たな未来へと続きます。こだわり続けるquality「品質」を秘めて次なるチャレンジに向けてこれからも邁進していく所存です。どうぞよろしくお願いいたします。

 

2024年8月8日

有限会社 代表取締役 内田 和宏

20年間の歩み

 

 2003年9⽉マンション清掃にて(当時の試作品)

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もっと良い仕上がりを。 当時、スタッフとその思いを共有し、⼿作りで作った原点のブラシです。圧巻の洗浄 ⼒とは裏腹に愕然とする消耗の速さ。懐かしいやら⼩恥ずかしいやら。⾃社現場のた めにしか考えていなかった私に、当時のスタッフは⽬を輝かせて⾔いました。「全国に 商品化してください!」彼らの⼀声が無ければ今はありません。



2003年12月 真鍮ブラシ第1号機「Q-GOLD」

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全⼒を注ぎ込んで⽣まれた真鍮ブラシ第1号機「Q-GOLD」。まだ⼿縫いの時代でし た。当時、ブラシ業界は⼀介の掃除屋に設計構想を要求されるほど開かれた業界では ありませんでした。とても保守的でブラシのことはなんでも知っている勢いで私の線 端洗浄理論は⼊る余地がないほどでした。親⽅と何度も激論を交わしたものです。ブ ラシ業界の植⽑技術と清掃業界の洗浄理論の融合はこの時に必然だと確信していまし た。⾸を縦に振るまで諦めなかった私についに折れて誕⽣した1号機は格別な想いが あります。それは洗浄の⽬的に関係なく⾒た⽬は⻩⾦⾊で飾りたいほど。現在はすで に廃盤ですが業界に旋⾵を起こしました。現物は未使⽤のものが1台のみ。忘れえぬ 記念作として保存されています。市場公開に先⽴って「エンボス洗浄」という業界⽤ 語を⽣み出しました。「線端洗浄による破砕理論」を提唱し、超極細⾦属線の洗浄の可 能性は広く周知される確かな⼀歩となりました。真鍮なのに「G O L D⾦」なんて… 現実問題として7:3⻩銅はイオン化傾向が強く、酸化による耐久性の弱さが課題となり後続製品への布⽯となりました。

 

2004年2月 Q-SILVERM
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このステンレスブラシの誕⽣によって超極細線であること以上に⾮常に重要な要素が波付加⼯にあることを突き⽌めました。開発は常に発⾒の連続です。



2006年3月 Q-PLATINUM

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そして 2 年後に「Q-PLATINUM」。現在は『アルファ』と親しまれる超極細ステンレスブラシ。同時に発売したかった製品でしたが、当時の⽣産コストは真鍮ブラシよりも数倍の負荷があり、後⼿に回った現実があります。初めは銀でもないのに「Q-SILVER」という製品名でした。結果的にステンレスなのにプラチナだなんて…何かと名付けがややこしい。⾦のブラシとか銀のブラシとか、果てはプラチナブラシという名前が⼀⼈歩きして混乱を招いたのも事実。 

ともあれ今となればそのタイミングのずれは実に絶妙。神のみぞ知る最も良き時にこそ市場に放たれた製品でした。前⾝のモデルの⽋点を克服し今では業界の標準ツールとして確⽴された必須アイテムとなっています。 

いまだに寝ても覚めてもブラシのことを考えて過ごす毎⽇。資本も精神もあらゆる開発に投じてきました。思えば、現在の現⾏製品として残っているものは、⼤半の開発過程で⽣き残ったほんの⼀部ということに気付かされます。

 

試作のコーナーポリッシャー 

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今から15年前懐かしきコーナーポリッシャー。幻と化したJ R専用機。惜しくも製造メーカーは廃業。関連会社に直訴しA2青図面から履歴を掘り起こし一つ一つのパーツを製作し復活させましたが… 現在は曖昧な軌道を意味するオービタルというカテゴリーが⽣まれ、名だたるメーカーもこぞって前戦を⽀える画期的な標準マシンとなっています。残念ながら弊社も開発資⾦の枯渇に⾒舞われ2号機で断念。前年はリーマンショック。年が明けて本格化する世界同時不況の波は、弊社を薙ぎ倒す勢い。最も苦境に⽴たされた時代でした。現在このマシンは、⽑材の耐久試験機として有効に使われています。ただ2号機も含めて動作⾳がうるさくてかなわない。発想を起点にし、ゼロから具現化するということは原資に限らず、時間も精神⼒も実に多くを必要とするものです。これもまた勉強しました。

 

当時の試作品

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何はともあれ結果的には5つの条件下を満たすときに最適なブラシが作り出せる原理原則に辿り着き、そうなればコンピュータは黙っていない。手書き図面の時代から一気に3D CADに移行し、試作でなければ分かり得なかったことの多くはCAEによって分析が可能となり開発速度は一気に加速しました。

手書き図面の時代から一気に3D CADに移行

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製品開発の基本は、単純に自分が使用に満足できるものであるかが基本になっています。高度な開発技術も現場に役立たないものはゴミ同然です。当然ですがそれは常に現場目線です。現場の必要性から導き出される産みの苦しみには業界発展へとつなぐ使命が伴っていると感じています。そのなかでも他社の追従を辞さないこだわりが伸線毛材加工です。エビデンスに基づいて行き着いた伸線毛材加工こそ弊社製品の命です。弊社を育んだ師匠の技術は、確かにこの手に継承され製品に息づいています。類似品の多い中にあって、清掃のプロとして毛材品質1本からこだわり自らブラシ加工生産できる弊社の強みがここにあります。

 

師匠から受け継いだこれは私の愛機

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真鍮線、ピアノ線、リン⻘銅、タングステンなど清掃業界には使⽤されない線種も多様です。いずれも私を魅了してやまない美しき伸線。

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最期まで⼀流の伸線加⼯にこだわり続けた愛する師に捧ぐ

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